I'm still looking for.

「考えたこと」を文字にしようとこころみるブログです/宝塚の話が多めです/でも興味はひろく/観た映画の話もしたいです/パンドラの箱はもうあけてあった

<宝塚>星組公演『かもめ』雑感

こんばんは
スカステ(スカイステージ:宝塚専門チャンネル)で、礼真琴くん(星組男役・95期・6年目)主演「かもめ」(星組・14年バウホール『かもめ』 | 星組 | 宝塚バウホール | 宝塚歌劇 | 公式HP)を観たよ(正確には途切れ途切れに見ましたごめんなさい…)

この舞台は、1895年ロシア人劇作家チェーホフが発表した同名の戯曲を、小柳菜穂子氏の脚本・演出により宝塚歌劇にて上演したものです。出演者は星組バウホール選抜メンバーです(バウホールは小さいので、組の全員は出演せず2組に分かれるようです。もう一方は全国ツアーなどに出られたりします。)。

はい。

……わたしこの舞台とてもとても好き

己の内面の独白に忙しい登場人物たち…お金がないときに手持ちの額を人に言っちゃうこの感じ…ルーブリという貨幣単位(なんとなくカワイイ)…破滅しきれずただ退屈を這い回るほかない自らの内面に、鏡を二重三重に当てる…けむりがでてもう全部だめになってしまうまで…これぞロッシャ文学のあるべき姿と見たわ。

そして今回の舞台、自己嫌悪と自己愛を募らせる出口のない若者コスチャ(主演礼真琴さん)と、コスチャを苦しめるために降ってきたかのようなスマートな大人であるところの トリゴーリン(天寿光希さん・星組男役・91期・10年目)の対比 、礼くんの色の黒いあの感じ(あれは日焼けではなくってお屋敷にこもっていることからくる血色の悪さだと思うわ)、それにもましてなんだかさえないあの着丈のお洋服、それに対してもともと金髪で生まれたのでは、みたいな美貌の天寿さんの余裕の笑顔、老若男女に愛されるスーパーヒーローを主役におきがち・真実の愛が他を下しがちな宝塚らしさにこだわらず、「かもめ」というこの戯曲をこそやりきった舞台、とみて大変面白く感じました。みんな苦しんでいてくだらなくてそして愚かだわ。もちろん愛と希望の溢れている宝塚の舞台はすきだけど、このかもめという舞台はこうあるべきと思いました。

 

宝塚、宝塚っぽくないこともちゃんとできる。ということがこの舞台で示されたのではないかなーとおもったのですが評価はどうだったのでしょう。わたしは結構好きというかこの方向応援する、そして生き残れ101年以降。

1カペイカも払わずに若い女のコたちのセルフィーや水着や下手すればもっとその先までみれるようになった今ですし(もともとかわいい自分の写真をよりかわいく撮っていろんなひとに観てもらう、みたいなことこんなに手軽に乙女たちがするようになった/できるようになったのって結構最近では)、8000円超出して見にいく宝塚は単なる(パンとサーカスのほうの)サーカスになってしまいませんように、と願っています(最近のサーカスについては<サーカス>オーヴォを観にいく - I'm still looking for.に書きました)。

というわけで、このかもめが栄えある100周年において舞台化されたということに劇団の今後の覚悟を期待しつつ、はー、そうはいってもフェニックス宝塚(今公演中の宙組公演のレビューです)はあっきー(澄輝さやとさん・91期・10年目)に文脈度外視過剰にキラキラされたい♡