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「考えたこと」を文字にしようとこころみるブログです/宝塚の話が多めです/でも興味はひろく/観た映画の話もしたいです/パンドラの箱はもうあけてあった

<内心>寒いくにのあのコ

小さい時家にジンベエザメのぬいぐるみがあった。海遊館で売っているぬいぐるみ。

ジンベエザメは時々和歌山の南のほうで網にかかることがあって、それを海遊館につれてくるのだと聞いていた。海くんと遊ちゃんがいたはずだけれどそれは何代目かの海くんと遊ちゃんで、一頭(匹?)だけのときもあったし一頭もいないこともあったと思う。幼いわたしは世の中にどのくらい水族館があるのかをしらなかったけれど、「ジンベエザメのいる」「大きな水族館」はなかなかないというので少し誇らしかった。どこまでが自分の内、で外、かの区別は曖昧だったけれど海遊館にはよく連れて行ってもらっていたのだ。

 

数年前石川県に旅行したとき、金沢はかなり都会で、SANAAが設計した21世紀美術館にはジェームス・タレル(タレルの直島にある光のなかにはいっていくあの作品あれ最高ね奥行きを信じられるようになるまで繰り返しin and outしたいです)やピピロッティ・リストの作品があり、近江町市場や兼六園には観光客があふれていた。しかし、石川県はもちろん金沢だけではなくて、もっと山?森?のなかをどんどん走っていくと、景色は次第に寂しくなり、道を歩いているひとはもうみかけなくなってしまって、日本海の色の海にかかった橋をわたって能登島についた。

正直能登島という島があることをそれまでわたしは知らなかった。したがってその島に水族館があることも知らなかった。ちょっと寂しい感じは正直あったと思う。小さい寒い地域の島だからとか住んでいる人の数が少ないからということもあるだろうし、生き物を閉じ込めてあるところだから、よっぽど気をつけないとすぐ寂しい感じになってしまうんだろう。寂しいところに閉じ込められた生き物をみるのは怖い。

 

しかしそこには暖かい海の生きものとばかりおもっていたジンベエザメがいた。しかも生き生きしてるやつ。ふたのされていない水槽の中で結構な勢いで泳ぎ回っていて、生きている魚のにおいがした。

 

涼しくなってくるとあのジンベエザメのことを思い出します。暖かい海が恋しくて命の短い大きなさかなだと思っていたけれど、冬の厳しい水族館であのコは変わらず元気にしているかしら。何となくだけどもちろん元気な気がします。

全然予想してなかったっていうことが時々ある。予想していなかった結果を好ましく思えたらそれは長く記憶に残ってずっと暖かいだろう。